風営法対象外プレイヤー

徒然なるままに @fies6928

1限目:エージェント便り

〜忍び寄る魔の手〜
◆接触

某ゲームセンターの一角、筐体にうつ伏せになり100円玉を退屈そうに回している彼が今回の被害者、A氏である。
「その日の戦績は本当に散々なものでした」とA氏は後にその日を振り返った。
ミューズに止められるスピードムーブ、止まらない相手の両成敗、頼もしい味方であったはずのサラマンダーはアポロンに強化コピーされ、頼みの綱のクサナギはリンリンに謝謝され、横に広げればシヴァにお仕置きされ、縦に攻めればロンギヌスと卓球させられ、嫌いな年増に暴れられ、幾度となく毘沙門に覚悟を迫られ・・・と何時にも増して酷い有様だった。
宛ら負けが負けを連れ立つ大行進、実力不足と不運の百鬼夜行
大消失してしまったAPに見えてきた下のランク、焦燥苛立ち悲しみ様々な感情が混ざり合う内にそれぞれの色を失った。
そして彼は抜け殻の様に、一人筐体にうつ伏せになってしまったのであった。

そんな中、ふらりと現れた女性が彼に声をかける。
「あの・・・大丈夫ですか?」
りん、と鈴の音の様に通る声だったとA氏は語る。照明で軽い逆光を受けながらも、可愛らしい容姿と屈託ない笑顔は一瞬で彼の瞳に焼きついたという。
「もし良ければ、このゲーム教えてもらえませんか?」

◆勧誘
A氏によると彼女(以下姫)は「元々カードゲームが大好きでCOJに興味があったが、中々踏み出せずにいた」との事であった。勇気を出して声をかけたのがA氏であり、後にその理由を訊いた際に姫はこう答えたという。
「何だか、不思議な人がいるなって思って」

当日姫がCOJの基本を覚えるより早く、彼は彼女に夢中になった。その日別れる際に彼女から連絡先を交換し、また明日会う事になった。
次の日ゲームセンターに来た際には前日と違い他のプレイヤーもいたが、何故か彼女は他のプレイヤーには見向きもせず話す事もなかった。A氏にはそれが自分が特別な存在と思われている様に感じとても嬉しかったという。そしてその時は周りの怪訝そうな視線にも気が付かなかったと。
プレイング指南は勿論、カード資産も惜しむことなく姫の為に捧げる。TCGが好きと言うだけあり、2日目にはあっという間に彼女は強くなっていく。その成長がそのままA氏への最大級の報酬であった。今までとは違い、姫がいる事で何をするにも世界が色を帯びていく様な、そんな拡がりを感じる喜びで満ちていった。

3日目、対戦を無料分のみで早々に切り上げた姫はこう切り出した。
「一緒に行きたいところがあるんですが、付き合ってくれませんか?」
詳細は教えてくれなかったが、断る理由も無く言われるがまま付いて行った先は、チェーン店のファミレスであった。
姫が手を振る先には、見知らぬ男性が2人。A氏を見るや大袈裟に挨拶する。A氏が愛想笑いを作る暇も無く、案内され席に掛ける。両側を男に挟まれ、姫と向かい合うという配置になった。
「実は私、もっとこのゲーム強くなりたいんです!Aさんと一緒に!」
へ、と間抜けな顔なのはA氏だけであり、両側の男は能面の様に笑顔を貼り付けたままである。姫は構わず続ける。
「どうすれば強くなれるかって考えて、やっぱり引きたいカードを引きたい時に引ける力とか、そういう運気を高める事が必要だと思ってて!」
ぐっと拳を突き上げて笑顔の姫。
「だから是非Aさんにも、私達の仲間になって欲しいんです!お願いします」
満を持して、姫は鞄から何かを取り出しばん!とテーブルに開いて見せた。

新興宗教のパンフレットと入信申込書であった。


◆注意喚起
COJではないですが実際秋葉原TCGをネタに接触し、宗教等に執拗に勧誘されるケースが起きているそうです。COJでも完全に無くは無いかなと思い、自分をメインに置いて書いてみましたが、まぁあっさり捕獲されましたね、姫サイドは楽なクエストだったでしょう。「後20秒で本部へ戻ります」といった感じでしょうか。
こういうのって「こんなの引っ掛かるバカいんの?人生チュートリアルからやり直したら?」と高を括る人程実際は陥りやすいと聞きます。
「怖いなぁ。こういうのに引っかからない様に一日3杯のミョルミルクを5杯に増やさないとな。BPは2000になったけどバストポイントはまだ4000のままだね・・・セガの計らいに感謝。んっ///」
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はい、これくらいの警戒心を持ってCOJをプレーしていただければと思います。

・・・丁度いい時間ですね。授業を終わります。
次の授業は小テストを用意しています。皆さんが大好きなあの「う」から始まるカードからの出題を用意しておりますので、しっかり予習をしておきましょう。


では