#いいねの数だけ行ったことあるゲーセンについて語る幕間に
①はこちら#いいねの数だけ行ったことあるゲーセンについて語る - 風営法対象外プレイヤー
②はこちら#いいねの数だけ行ったことあるゲーセンについて語る② - 風営法対象外プレイヤー
③はこちら#いいねの数だけ行ったことあるゲーセンについて語る③ - 風営法対象外プレイヤー
■幕間
このようなゲーセン回顧録を書いていたせいか、先月末から今月頭に掛けて、ゲーセンに纏わる夢を連続でみる事がありました。
「お久しぶりです。○○です。ブログを拝見して連絡しました。実は県内某所に最近出来たゲーセンがあるので今度一緒に行きませんか?」
もう数年会ってない連絡も取っていない地元の知り合いからこういった内容のDMが唐突に送られて来るところから始まって一緒にそのゲーセンに向かうのですが、必ずある瞬間に現実との矛盾を感じて「あぁ、これは夢なんだな」とはっきり自覚・認識してしまうんですね。
例えばかなりの距離を移動したはずなのに空が夕暮れから変わらないとか、ゲーセンの機種が旧世代のものなのにePASSが使えたりだとか、地力の数倍ギタフリが上手かったりだとか。所謂"明晰夢"というものです。
俺はそのゲーセンの駐車場で「これは夢だ」と伝えるんですが向こうは何言ってるんですかと笑って誤魔化すんです。そしてにやりと笑って「夢ならばそれを証明してみせて下さい」と言ってくるんです。
俺が最近車を買い替えた事を知らないはずなのに待ち合わせの時何故か車の前に待っていたり、俺が(付き合いがあった当時に比べ)かなり太ったのに変わってないと言って来たり、そもそも君が昔のままで格好も背丈も顔も何もかも変わってないという事を的を射抜いたかのように得意げに言うと、笑顔のまま「車はTwitterで見たから知ってる、変わってないというのは皮肉で言ってみた、私が変わってないのは成長してないからですほっといて下さい」といかにもな調子で誤魔化すんですが、その後急に声のトーンを変え、
「夢なら、夢でしか出来ない事をやらないともったいないですよね?何か、あるんじゃないですか?」
「何で、自分でそう思ってるのに、何故どうにかしようとしないんですか?」
突然の舞台転換で気付くと帰りの車内、彼女は左後部座席に座ってミラー越しに俺を半ば睨み付けるような感じで見つめたまま、突然そう投げかけてくるんです。しばらく黙っていると、
「じゃあ、さっきの場所に何か印となるものでも置いておきましょうか?それかこの事をブログに書いてもらえればDMかコメントでも送りますよ。では」
と言って
夢が醒めるんです。
夢の世界なので全ては自分の記憶から作り出されたものだから物事の辻褄が合わなくても大抵は合点がいくんです。例えば"何故どうにかしようとしないのだ?"のとこは好きな作家の後書きで覚えてる言葉がたまたま記憶から引っ張り出されて反芻されただけだろう、とか。
ただどうにも最後の二言三言だけが妙にはっきりと覚えている上に反響していてしばらくは絡まりついて離れませんでした。
無駄だと分かってるはずなのにDMの痕跡を探してみたり、現実のその場所を通り過ぎてみたり、挙句まんまとブログに書いてしまったりする自分がいて、自ずとイコールの右側を知らされた俺はおぞましさに全身がむず痒くなりました。
馬鹿らしいくらいの夢物語なはずなのに絶妙なリアルを混在させた上で途中から首輪を外されるせいで、まるで背を伸ばせば今からでも掴めそうな錯覚に陥ってしまうというか。
明晰夢が毒になるというのが少し分かった気がします。
では